Lucidchart のベン図ツールで、ベン図の作成が大幅にシンプルかつ容易になります。以下では、ベン図の基本、その長い歴史、多彩な用途や応用、3つの集合などの例や記号、書き方などを紹介しています。
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ベン図とは?
英語でVenn Diagram (ベンダイアグラム)とも言われるベン図は集合図や論理図とも呼ばれ、数学、統計学、論理学、教育指導、言語学、コンピューターサイエンスやビジネスの分野で広く用いられています。ベン図が「新数学」のカリキュラムに組み込まれたのは1960年代のことです。そのため、数学や論理学を学ぶ際に授業中にこの図と出会ったことが多いのではないでしょうか。ベン図とはいくつかの要素の2つ、または3つの集合からなる簡単な図、6つ、7つまたはそれ以上の集合を対象とし、特定の「領域」やセグメント内での項目間の相互の関連を検討し、表現するために使用されます。ベン図を利用することで、ユーザーは明確かつパワフルにデータを視覚化することができるため、プレゼンやレポートで使用されることの多い図です。ベン図はオイラー図に非常に近い図ですが、ベン図とオイラー図の違いは、オイラー図では項目が存在しない集合は省略される点が違います。ベン図の場合には、集合が空の場合であっても関連が表示されます。
ベン図では、重なる円やその他の図形を使用し、複数の項目の集合間の関係を図示します。視覚的に対象物を整理し、項目間の類似点や相違点を強調するために用いられることの多い図です。
ベン図の歴史と名前の由来
ベン図は、英国の論理学者ジョン・ベンにちなんで命名されました。同氏は、フィロソフィカル・マガジン・アンド・ジャーナル・オブ・サイエンスで発表された1880年の論文「On the Diagrammatic and Mechanical Representation of Propositions and Reasonings (定理及び推論の図式的及び機械的表現について)」でベン図について記しています。
しかし、こうした図の起源はさらに古く、少なくともこの600年前にはすでに存在したものとされています。1200年代には、哲学者で、論理学者でもあったマヨルカ島のラモン・リュイが同様の図を使用していたと、ベン図の起源をたどる1969年の論文で M・E・バロンが記しています。また、ドイツ人の数学者で、哲学者でもあったゴットフリート・ヴィルヘルム・フォン・ライプニッツが1600年代後半に類似の図を作成していたことについても触れています。.
1700年代には、スイス人の数学者レオンハルト・オイラーにより、ベン図の前身とされるオイラー図が発明されました。実際に、ジョン・ベンは、自らの図をベン図ではなくオイラー円と呼んでいます。ベン図という用語が最初 に文献に現れたのは、米国人哲学者のクラランス・アーヴィング・ルイスによる1918年の著作「記号論理学の研究 (A Survey of Symbolic Logic)」の中のことです。
過去60年間、デイビット・W・ヘンダーソン、ピーター・ハンバーガー、ジェロルド・グリッグス、チャールズ・E・「チップ」キリアン、カーラ・D・サヴェージなどの専門家の尽力により、ベン図は進化を続けてきました。 こうした研究の中には、左右対称のベン図と素数 (1と自分自身以外に正の約数を持たない自然数) の関係に関するものが含まれます。こうした対称図で、素数である7に基づくものは、数学界で「ヴィクトリア」として広く知られています。
この他にも、A・W・F・エドワーズ、ブランコ・グレンバウムやヘンリー・ジョン・ステファン・スミスといった著名人がベン図の発展に寄与しています。その功績には、集合の数が増えてもシンプルに描画ができるよう、ベン図に使用する図形の形状を変更した点などがあります。
ベン図の例
では、ペットを領域とし、家族が賛成してくれるようなペットを比較検討するというテーマで図を作成してみましょう。
集合 A には私の飼いたいペット、犬 (dog)、鳥 (bird)、ハムスター (hamster) が含まれます。
集合 B には家族 B の飼いたいペット、犬 (dog)、猫 (cat)、魚 (fish) が含まれます。
集合 C には家族 C の飼いたいペット、犬 (dog)、猫 (cat)、カメ (turtle)、ヘビ (snake) が含まれます。
3つの集合の重複する共通部分には、犬のみが含まれます。というわけで、おそらく犬を飼うことになるでしょう。
もちろん、これよりも大幅に複雑なベン図も多数あり、さまざまな分野で広く利用されています。
ベン図のメリット
情報を視覚的に整理
し、共通点や相違点など、項目の集合間の関連を見い出すために使用でき、学生やビジネスパーソンが、ある概念の背後にあるロジックを徹底的に考え、関連を表現して視覚的に伝えるために役立ちます。基本的なものから高度なものまで、さまざまな対象に使えます。複数の選択肢を比較
し、それらの間の共通点と相違点を明確に確認するために使用でき、重要な製品やサービスを購入する際にも使える方法です。複雑な数学の問題を解く
ために使用でき、もちろん、数学者が対象です。データセットを比較
し、相関関係を見い出し、特定の事項の発生確率を予測するために使用できます。- 「or」や「and」ステートメントを使った単語検索やそのグループ化の方法の背後にあるブール論理など、命題や方程式の背景となる
論理を推論する
ために使用できます。
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ベン図を作成ベン図のユースケース
数学:
ベン図は、集合、和集合や共通部分などの基本的な数学概念の指導を目的として、学校で用いられています。また、高度な数学でも、複雑な問題の解決のために利用され、学術誌でも論文のテーマとして広く取り上げられています。集合論は数学全体の基礎となるものです。統計と確率:
統計の専門家は、ベン図を使用して特定の事象の発生可能性を予測します。予測分析の分野とつながりのある領域です。異なるデータセットを比較することで、共通性と相違点の程度を見いだすことができます。論理学:
ベン図は、特定の論点と帰結の妥当性を判断するために使われます。演繹法では、前提が真であり、論理式が正しければ、その帰結は真となります。例えば、もしすべての犬が動物であり、うちのペットのモジョが犬であるとすれば、モジョは動物でなければなりません。変数を割り当てて、犬は C、動物は A、モジョは B であるとしましょう。論理式ではこう表現します: すべての C は A である。B は C である。従って、B は A である。関連する論理学の図としては、真理値表があります。これは、変数を列に配置し、論理的に有効であるかを判断するための表です。この他の関連図としては、数学者ジョン・F・ランドルフの名を冠したランドルフ図、別名 R 図が挙げられます。線を使って集合を定義する図です。言語学:
ベン図は、言語間の共通性と相違点を研究するために利用されてきました。読解指導:
教師は、生徒や学生の読解力向上のためにベン図を使用することができます。生徒や学生は、図を作成して読書から得たアイデアを比較し、対比させることができます。コンピューターサイエンス:
プログラマーは、コンピ ューター言語と階層を視覚化するためにベン図を使用することができます。ビジネス:
ベン図では、製品、サービス、プロセスを始め、セットで表現できるあらゆる対象を比較し、対比させることができます。また、そうした比較を図解する効果的なコミュニケーションツールでもあります。
ベン図の用語集
集合 | 事物の集合を指します。ベン図は汎用性の高いものであり、どんな事物にでも適用することができます。この事物は、項目、オブジェクトやメンバーなどと呼ばれることもあります。 | |
和集合 | 対象の集合内のすべての項目。 | |
共通部分 | 対象の集合内の重複する項目。副集合と呼ばれることもあります 。 | |
2つの集合の対称差 | 共通部分を除くすべて。 | |
絶対補集合 | 集合に含まれないすべて。 | |
相対補集合 | 1つの集合に含まれ、他の集合に含まれないもの。 | |
拡大型ベン図 | 面積比例とも呼ばれます。円 (またはその他の図形) のサイズが全体比で決まります。 | |
ルーローの三角形 | ベン図で見られるように、3つの円や図形の交点に形成される図形。 |