データベースとは?種類やDB設計、作り方の基本ガイド

データベース(DB)とは、さまざまなデータを整理・蓄積・管理しやすい形で保管する仕組みのことです。必要なときに、すばやく正確にデータを検索・追加・更新・削除できるように設計されています。 このガイドでは、パフォーマンスに優れ、将来的なニーズにも対応するデータベースの基本要素を紹介しています。データベースとは何かを始め、初心者でもわかりやすいデータベース種類に加え、データベース図の作り方、おすすめデータベース ツールやエクセル データベースの作成方法などの作成例をを紹介! さらに、Lucidchart のデータベース設計(DB設計)ツールを利用することで、ユーザーに必要な情報を提供できる優れた設計のデータベースを実現することができます。

Lucidchartの機能を発掘

データベースとは?

データベースとは、データを体系的に整理・保存し、効率的にアクセス・管理するための構造化された情報の集合体を指します。データベース(英:Database・DB) は、様々なデータを一元管理し、必要に応じて情報を迅速かつ正確に取得するための基盤として機能します。

データベースは、日常生活からビジネスの様々な場面において、情報の整理・管理・利用を支援する重要なツールです。例えば、オンラインショッピングサイトの製品カタログ、病院の患者記録、企業の財務データ、学校の成績管理システムなど、多岐にわたる分野で利用されています。

データベース管理システム (DBMS) は、データベースの作成、管理、および操作を行うためのソフトウェアであり、データベースの効率的な運用を支援します。DBMSには、Oracle、MySQL、PostgreSQL、Microsoft SQL Serverなどの様々な種類があります。各DBMSは、それぞれ異なる機能や特徴を持ち、用途やニーズに応じて選択されます。

データベースの基本的な特徴

  1. データの整理と構造化: データはテーブルやフィールドなどの構造に整理されます。これにより、関連するデータを効率的に保存・取得することができます。
  2. データの一貫性と整合性: データベースシステムはデータの一貫性を保つためのルールや制約を設定できます。これにより、データの正確性と信頼性が向上します。
  3. アクセスの効率化: データベースは検索やフィルタリングのための機能を提供し、必要なデータを迅速に見つけ出すことができます。
  4. 同時アクセスと共有: 複数のユーザーが同時にデータベースにアクセスし、データを共有することができます。これにより、チームや組織内での情報共有が容易になります。
  5. セキュリティとバックアップ: データベースはアクセス権の管理やデータのバックアップ機能を提供し、データの安全性を確保します。

Lucidchartやエクセルなどのデータベース ツールを使用することで、データベースの設計を視覚的に行い、効率的なデータベース構築が可能になります。データベース設計の基本を理解し、実際にデータベースを作成してみることで、データ管理のスキルを向上させましょう。

データベースの種類一覧

データベース設計において、最適なデータモデルの選択はプロジェクト成功の鍵となります。各種データモデルには独自の構造と特徴があり、利用シーンやパフォーマンス要件に応じて適切なモデルを選ぶことが重要です。本記事では、業界で広く採用されている代表的なデータベースモデルについて、その特徴と代表的な利用ケースを解説します。


1. リレーショナルモデル:業界標準のデータベースモデル

リレーショナルモデルは、1970年にエドガー・F・コッドが提案した、最も普及しているデータベースモデルです。データは行(レコード)と列(カラム)からなるテーブル(リレーション)に整理されます。プライマリキーで各レコードを一意に識別し、外部キーによってテーブル間の関連を管理します。

このモデルはSQL(Structured Query Language)で操作され、データの正規化を通じて冗長性を抑制し、データ整合性と拡張性を確保します。金融や販売、顧客管理など、あらゆる業種で標準的に利用されています。

関係データベース


2. オブジェクトリレーショナルモデル:柔軟性と互換性を両立

オブジェクトリレーショナルモデルは、リレーショナルモデルのシンプルな構造にオブジェクト指向の拡張機能を加えたハイブリッドモデルです。既存のテーブル構造にオブジェクトの概念を取り込むことで、複雑なデータ構造をより自然に扱えます。

SQLの拡張版であるSQL3や、ODBC、JDBCなどの標準APIに対応しており、既存のリレーショナルデータベースの利点を活かしつつオブジェクト指向の利点も享受できます。特に大規模システムやエンタープライズ用途で活用が進んでいます。


3. オブジェクト指向データベースモデル:再利用性と表現力の強化

オブジェクト指向データベースモデルは、データとその操作を一つのオブジェクトとしてまとめて管理するモデルです。ソフトウェア開発のオブジェクト指向プログラミングとの親和性が高く、複雑なビジネスロジックや多様なデータタイプを統合できます。

マルチメディアデータベース(画像や動画の格納)、ハイパーテキストデータベース(リンク構造の管理)、表を組み込んだハイブリッド型など、多様なバリエーションがあります。特にWebコンテンツ管理やメディア管理で有効です。

オブジェクト指向データベースの例


4. ERモデル(実体関連モデル):データベース設計の基礎

ERモデル(Entity-Relationshipモデル)は、データベース設計の初期フェーズでよく使われる概念モデルです。実世界の「エンティティ」と「リレーションシップ」を図式化し、システムのデータ構造を視覚的に整理します。

物理設計に依存しないため、後続のリレーショナルモデルやオブジェクトリレーショナルモデルへの展開が容易です。データウェアハウスで使われるスタースキーマも、ERモデルを基にした典型的な構造例です。

実体関連モデル(ER図)の例


5. ネットワークモデル:多対多の複雑な関連を表現

ネットワークモデルは、複数の親子関係を許し、多対多のリレーションを扱うためのモデルです。1970年代にCODASYL標準として普及しました。

階層モデルの制約を克服し複雑な関係を表現可能ですが、設計・運用の難易度が高いため、現在はリレーショナルやオブジェクト指向モデルに置き換えられる傾向にあります。

ネットワークデータベースモデル


6. 階層モデル:ツリー構造による親子関係の管理

階層モデルは、データを親子関係のツリー構造で管理するモデルで、1960〜70年代にIBMのIMSで広く使われました。単純な構造のため効率的ですが、柔軟性に欠けることから現代では限定的に使用されています。


階層関係データベースモデルの例


7. ドキュメント指向モデル:半構造化データの効率的管理

ドキュメント指向モデルは、JSONやXML形式の半構造化データを自然に管理できるモデルです。階層的なデータ構造をそのまま格納でき、Webサービスやコンテンツ管理、ログデータ管理などで広く利用されています。


8. グラフデータベース:複雑な関係性の高速分析

グラフデータベースは、ノード(頂点)とエッジ(辺)で構成されるグラフ構造を用いてデータを管理します。複雑な多対多の関係を直感的に扱え、ソーシャルネットワークや推薦システム、詐欺検知などで注目されています。


9. その他のモデルとNoSQLデータベースの拡大

  • 転置ファイルモデル:全文検索に特化したインデックスモデル。

  • フラットファイルモデル:単一の表形式で簡易管理、規模が小さい用途に適する。

  • 多次元モデル:OLAP用途向けにデータを多次元的に分析可能にしたモデル。

  • 半構造化モデル:スキーマが不確定なデータ向け。

  • 連想モデル:一意のIDと関係性でデータを管理。

これらはリレーショナルモデルとは異なるNoSQL系のモデルとして、柔軟なデータ管理を求めるシステムに採用されています。


モデル選択のポイント

データベース設計では、利用予定のDBMSのサポート状況やビジネス要件、性能、運用コストなどを踏まえてモデルを選択します。概念設計フェーズと物理設計フェーズで使い分けることも重要です。


まとめ

データベースモデルは、それぞれの特徴を理解し、要件に最適なものを選ぶことで、効果的なデータ管理とシステム運用を実現します。特に近年は、リレーショナルモデルに加え、オブジェクトリレーショナルモデルやドキュメント指向モデル、グラフモデルなど多様なモデルが求められており、適材適所の活用が重要です。

DB設計のベストプラクティス

適切に構築されたデータベース設計には、以下要素が考慮されております。

  • 冗長データを排除し、ディスク容量を節約する。
  • データの正確性と整合性を保つ。
  • 便利な方法でのデータへのアクセスを可能にする。

効率的で有用なデータベース設計のためには、以下のステップを含め、ベストプラクティスの実行が肝要です。

  1. 要件の分析やデータベースの目的の定義
  2. 表形式でのデータの整理
  3. 主キーの指定と関連の分析
  4. 正規化による表の標準化

それでは、データベースの作り方の詳細を見ていきましょう。このガイドでは、(階層型、ネットワークやオブジェクトデータモデルではなく) SQL で記述されたエドガー・コッドの関係データベースモデルを主に取り扱っています。

データベースの作り方と基本的な構成要素

1. データベースの視覚的なレイアウトを決定する

まず、データベース内でどのようにデータを整理するかを考えます。データベースは、関連するデータを「表」という形でグループ化します。各表(テーブル)は、スプレッドシートのように「行(レコード)」と「列(フィールド)」で構成されます。

例:

「顧客」情報を格納する表を作成する場合:

名前年齢郵便番号
サチエタナカ43563-0014
ビルハンク32192-0361
ヒロコタケダ56466-0843

このように、行(レコード)が個々のデータ(顧客ごとの情報)を表し、列(フィールド)はそのデータの属性(名前、年齢、住所など)を示します。

データベースの属性の例


2. エンティティごとに表を作成する

データベースでは、情報をエンティティ(事象やオブジェクト)ごとに分けて表を作成します。例えば、顧客、製品、注文などのエンティティを表としてまとめ、関連するデータをそれぞれの表に保存します。

例:

  • 顧客情報 → 顧客表
  • 製品情報 → 製品表
  • 注文情報 → 注文表

3. データ型の設定

データベースでは、各フィールドに対して適切なデータ型を設定します。これにより、データの一貫性と効率的な検索が可能になります。

よく使用されるデータ型:

  • CHAR:固定長の文字列(例:郵便番号)
  • VARCHAR:可変長の文字列(例:顧客の名前)
  • TEXT:長文(例:製品の詳細説明)
  • INT:整数(例:年齢、数量)
  • FLOAT/DOUBLE:小数点を含む数値(例:価格)
  • BLOB:バイナリデータ(例:画像ファイル)

また、オートナンバー(自動生成された番号)を使って、各レコードに一意のIDを割り当てることもよく行われます。


4. 実体関連図(ER図)を作成する

データベースの視覚的な設計には、実体関連図(ER図)を使用します。ER図では、各表をボックスで表し、それぞれの属性(列)はボックス内でリスト化されます。また、エンティティ間の関係を矢印や線で示すことができます。ER図を使うことで、データベース構造がより直感的に理解でき、設計ミスを防ぐことができます。


5. 主キー(PK)を決定する

各表には一意の識別子が必要です。この識別子を主キー(PK)と呼びます。主キーは、その表の各レコードを一意に識別するために使用されます。主キーとして選ばれるフィールドは、以下の条件を満たす必要があります。

  • 一意である(重複しない)
  • 変更されない(不変)
  • 常に存在する(NULL値を許容しない)

例:

  • 顧客表:顧客ID(主キー)
  • 注文表:注文番号(主キー)

複数のフィールドを組み合わせて複合キーを作成することもできます。例えば、注文表で「顧客ID」と「注文日」を組み合わせて一意の識別子を作成する場合です。


6. 論理構造と物理構造を設計する

データベースの論理構造が決まったら、次はそれを物理的にどのように格納するかを設計します。使用するデータベース管理システム(DBMS)に適したデータ定義言語(DDL)を使用して、実際にテーブルを作成します。また、データベースのサイズやパフォーマンスに応じて、必要なストレージ容量を見積もることも重要です。

注意点:

  • パフォーマンス最適化: データベースの検索や更新速度を向上させるために、インデックスを追加したり、データの正規化を行うことがあります。
  • データサイズの見積もり: ストレージ容量を適切に見積もることで、システムの動作が遅くなるのを防ぎます。

DB設計における関連の分析

データベース設計の段階では、データを表形式に整理し、異なる表(テーブル)間の関連を明確にすることが重要です。これにより、データが適切に分割されているか、効率的に管理されているかを確認できます。この段階で「濃度」を分析することが必要です。

濃度の分析

「濃度」とは、異なる表間で共有される情報の量を指します。具体的には、関連する2つのテーブルでやり取りされるデータの頻度や量を測ります。濃度を特定することで、データが適切に分割されているか、無駄な重複がないかをチェックできます。

例えば、顧客情報と注文情報をそれぞれ別のテーブルに分けた場合、顧客IDと注文IDがどのように関連しているかを見ます。この「関連」が適切に設計されていれば、データベースは効率的に動作します。


実体間の関連の種類

実体(テーブル)間の関連には、以下の3つの基本的なタイプがあります。これらを理解し、適切なリレーションシップを設計することがデータベースの効率を高めます。

1. 1対1の関連(One-to-One)

1対1の関連は、1つのテーブルのレコードが別のテーブルの1つのレコードにだけ関連する場合に使います。たとえば、ある顧客に対して1つの顧客詳細情報がある場合です。

  • ER図では、1対1の関連を示すために、関連の両端に「ダッシュ」をつけた線で表現します。
  • 1対1の関連は通常、2つのテーブルを1つに統合しても問題ない場合が多いです。ただし、特別な理由がある場合、別々のテーブルとして保持することもあります。例えば、「説明」のような省略可能なフィールドを分けて管理し、データベースのパフォーマンスを向上させる場合があります。

データベース

2. 1対多の関連(One-to-Many)

1対多の関連は、1つのテーブルのレコードが別のテーブルの複数のレコードに関連する場合です。たとえば、1人の顧客が複数の注文を行う場合がこれに該当します。

  • ER図では、「カラスの足記法」で示されます。
  • 実装方法:1対多の関連を実現するには、1側のテーブルの主キー(Primary Key)を、もう1つのテーブルに追加して「外部キー(Foreign Key)」として使用します。これにより、親テーブル(1側)と子テーブル(多側)を関連付けます。

データベース

3. 多対多の関連(Many-to-Many)

多対多の関連は、2つのテーブルのレコードが互いに複数回関連する場合です。例えば、学生と授業の関係では、1人の学生が複数の授業を受け、1つの授業には複数の学生が参加します。

  • ER図では、矢印付きの線で示されます。
    データベース
  • 直接多対多の関連はデータベースで表現できないため、2つの1対多の関連に分けてリンクテーブル(中間テーブル)を作成します。例えば、「学生」テーブルと「授業」テーブルの間に、「学生授業」テーブルを作成して関連を表現します。このリンクテーブルには、学生IDと授業IDが含まれ、これらが1対多の関連で繋がります。

データベース


その他の関連の種類

必須か否かの判定

関連を設計する際には、ある実体の存在がもう一方の実体の存在に必須かどうかを確認することも重要です。例えば、ある国の国連代表が存在するには、その国が存在する必要がありますが、逆に国が存在すれば必ず国連代表が存在するわけではありません。この場合、必須でない側には線上に丸をつけることで表現します。

データベース

再帰関連(Recursive Relationship)

時には、テーブルがその自分自身を参照することがあります。例えば、従業員テーブルに「マネージャー」属性があり、従業員が他の従業員を管理するような場合です。これは再帰関連と呼ばれます。

冗長関連

複数の方法で同じ情報を関連付けることがある場合、その関連が冗長である可能性があります。冗長な関連を取り除くことで、データベースがシンプルで効率的になります。例えば、学生と教師が直接関連し、さらに授業を通じて間接的にも関連している場合、学生と教師の直接的な関連は削除できます。授業を介してのみ教師と学生が関連していれば、それが最適な設計です。


このように、データベース設計では、関連の種類や濃度を正しく分析し、データが効率的に保存されるようにすることが重要です。各関連を適切に理解し、実装することで、データベースのパフォーマンスと一貫性が保たれます。

データベースの正規化の手順

データベースの正規化

データベース設計が進んだ段階では、データが適切に分割され、冗長性が排除されていることを確認するために「正規化」を行います。正規化は、データの整合性を保ち、データベースの効率を高めるために非常に重要です。

ただし、すべてのデータベースが正規化を完全に適用すべきではありません。例えば、OLTP(オンライントランザクション処理)データベースでは、ユーザーが頻繁にデータの作成、更新、削除を行うため、正規化が推奨されます。一方で、OLAP(オンライン分析処理)データベースでは、分析速度を重視するため、ある程度の非正規化が有利となることがあります。

正規化は、以下のような段階(正規形)で進められます。各正規形には、データの分割や依存関係に関する特定のルールがあります。


第1正規形(1NF)

第1正規形(1NF)では、テーブルの各セルに1つの値のみが格納されるべきだというルールがあります。つまり、複数の値やリストを1つのセルに格納することは許されません。

例:

下記のテーブルは第1正規形に違反しています。の列に複数の値(茶、黄、赤、緑など)が含まれています。

製品ID価格
1茶、黄$15
2赤、緑$13
3青、オレンジ$11

これを第1正規形に適合させるには、色を別々の行に分ける必要があります。例えば、「製品ID 1」に関して、をそれぞれ別の行として記録します。

製品ID価格
1$15
1$15
2$13
2$13
3$11
3オレンジ$11

このように、各セルに1つの値のみを持たせることで、データが整理され、より効率的に管理できます。


第2正規形(2NF)

第2正規形(2NF)では、テーブルの各属性が主キー全体に完全に依存している必要があります。つまり、主キーが複数のフィールドから構成される場合、各属性はその主キー全体に依存しなければなりません。

例:

次のテーブルでは、製品名製品IDに依存していますが、注文番号には依存していません。このため、このテーブルは第2正規形に違反しています。

注文番号製品ID製品名
10011テレビ
10022冷蔵庫
10031テレビ

このテーブルでは、製品名製品IDに依存しており、注文番号には依存していません。したがって、製品名製品IDに基づく別のテーブルに分割し、冗長性を排除する必要があります。


第3正規形(3NF)

第3正規形(3NF)では、すべての非キー列が他の非キー列に依存しないようにする必要があります。具体的には、ある列の値が変更された場合に、他の列の値が影響を受けないようにします。

例:

次のテーブルでは、税金価格に依存しています。価格が変更されると税金も変更されるため、このような表は第3正規形に違反しています。

注文番号価格税金
14325$40.99$2.05
14326$13.73$0.69
14327$24.15$1.21

この場合、税金を計算するために価格を使うので、税金価格に依存しています。この依存関係を解消するために、税金は計算に基づくフィールドとして定義すべきです。例えば、税金は別のテーブルに格納し、価格に変更があった場合に動的に再計算する方が望ましいです。


正規化の目的と限界

正規化の目的は、データの冗長性を排除し、データの整合性を保つことです。しかし、過度に正規化すると、データベースのパフォーマンスが低下することがあります。特に、複雑な結合が必要な場合、読み取り速度が遅くなることがあります。

そのため、データベースの設計には、データの性質や利用目的を考慮して、適切な正規化レベルを選ぶことが重要です。特にOLAP(オンライン分析処理)のようなデータを集計・分析する用途では、データベースを非正規化して、計算速度を重視することが適している場合もあります。

多次元データ

OLAP(Online Analytical Processing)データベースでは、1つの種別のデータに対して複数のディメンションへのアクセスが必要となるケースがあります。例えば、顧客ごとの都道府県や月別の売上データを知りたい場合が考えられます。

このような場合には、以下のようにファクト表を中心に設計するのが一般的です。ファクト表は、具体的な事実(例えば、売上データ)を保持し、それに関連する複数のディメンション(例えば、顧客、都道府県、月)への参照を提供します。ファクト表は通常、データの詳細レベルを保持し、分析や集計が行いやすいように設計されます。

例えば、顧客ごとの都道府県や月別の売上を知りたい場合、顧客ディメンション、都道府県ディメンション、月ディメンションといった参照テーブルを作成し、これらがファクト表に参照される形でデータを構造化します。これにより、複数のディメンションを介してデータにアクセスし、複雑な分析や集計を効率的に行うことが可能となります。

データベースモデルの多次元データの例

データの整合性ルール

データベースを適切に構成し、ルールに従ってデータを検証することは非常に重要です。Microsoft Accessを含む多くのデータベース管理システムには、こうしたルールを自動的に適用する機能が備わっています。

  1. 実体整合性ルール: 主キーをNULLにすることは許されません。主キーが複数の列で構成される場合、それぞれの列もNULLにすることはできません。このルールに違反すると、履歴を一意に識別することができなくなる可能性があります。

  2. 参照整合性ルール: 外部キーは、参照先の表内の主キーと一致しなければなりません。主キーに対して変更や削除を行った場合、これらの変更内容をデータベース全体のすべての参照元に反映させる必要があります。

  3. ビジネスロジック整合性ルール: データが特定のビジネスルールや論理パラメータに従うことを確保します。例えば、予約時間は通常営業時間内に収まる必要があります。

これらの整合性ルールを厳密に遵守することで、データベースの信頼性や効率性を高め、データの品質を保つことができます。データベース管理システムが提供する自動適用機能を活用することで、エラーや不整合を未然に防ぐことができます。

インデックスとビューの追加

インデックスは、本質的には並べ替えられた1つまたは複数の列のコピーで、昇順または降順で値が並ぶものを指します。インデックスを追加することで、ユーザーはデータをより効率的に取得できるようになります。システムは、クエリを再度データを並べ替えることなく、インデックスで指定された順序でデータにアクセスすることができます。

しかし、インデックスを使用することでデータ取得の速度が向上する一方で、履歴に変更が加えられるたびにインデックスの再構築が必要となります。そのため、データの挿入、更新、削除の速度が低下する可能性があります。

ビューは、データベースに保存されたクエリを指します。複数の表からのデータの結合や特定の表の一部の表示を行う際に便利です。ビューを使用することで、データの複雑な結合や必要な部分の抽出を容易に行うことができます。

拡張プロパティ

基本的なレイアウトが完成したら、指示テキスト、入力マスク、特定のスキーマ、ビューや列に適用する形式設定ルールなどの拡張プロパティを使ってデータベースを調整します。これらのルールはデータベース自体に格納されるため、そのデータにアクセスする複数のプログラム全体でデータの整合性を確保できるという利点があります。

SQL と UML

オブジェクト指向言語で作成された複雑なシステムを視覚的に表現するためのもう一つの方法が統一モデリング言語 (UML) です。このガイドで取り上げた概念のいくつかは、UML においては別の名前で表現されます。例えば、実体は UML ではクラスと呼ばれます。

UML はかつてほどは使われなくなり、現在では、学術用途やソフトウェア設計者とクライアントの間のコミュニケーション手段として主に使われています。

4分でわかる Lucidchart データベース ツールの基本的な使い方

  • さっそく最初の図を作成してみましょう。文書をインポートするか、テンプレートを使用するか、空白のキャンバスで最初から作図を始めます。
  • 図の図形や記号、線を追加します。
  • [機能を検索] を使えば、図内の必要な情報を検索できます。
  • 図をチームと共有して、共同作業からフィードバックを得ることができます。

*このビデオは英語のみとなります。予めご了承いただけますようお願いいたします。

データベース管理システム

データベース管理システム(DBMS)を選ぶ際には、複数の選択肢があり、それぞれに特徴や利点があります。選定の際は、自社の具体的なニーズや要件に最も適したシステムを選ぶことが重要です。以下に代表的なDBMSとその特徴を紹介します。

代表的なデータベース管理システム

  1. Oracle DB

    • 特徴: 高い可用性、強力なセキュリティ機能、大規模なデータ処理に強みがあります。特にエンタープライズ環境や複雑な業務アプリケーションに適しています。
    • 適した用途: 大規模企業、ミッションクリティカルなシステム、複雑なデータ処理やトランザクション処理。
    • コスト: 高価であることが多く、ライセンスやサポート費用が高額です。
  2. MySQL

    • 特徴: オープンソースで無料で使用でき、軽量で高速なデータ処理が可能です。広く使われており、特にWebアプリケーションや中小規模システムで高い人気を誇ります。
    • 適した用途: Webアプリケーション、小規模〜中規模のシステム、コストを抑えた開発。
    • コスト: オープンソースなのでライセンス費用がかからず、低コストで運用できます。
  3. Microsoft SQL Server

    • 特徴: Microsoft製で、Windows環境との統合性が高いです。管理が簡単で、企業内のアプリケーションやビジネスインテリジェンス(BI)用途に多く使われています。
    • 適した用途: Windowsベースのシステム、BIツールやデータ分析を必要とする企業向けアプリケーション。
    • コスト: ライセンス費用は高めですが、Windowsとの統合性の高さや豊富なサポートが魅力です。
  4. PostgreSQL

    • 特徴: オープンソースで高度な機能と拡張性を持ち、データの信頼性や安全性を重視した環境に適しています。SQL標準に準拠し、多くのオペレーティングシステムで動作します。
    • 適した用途: 高度なデータ処理を必要とするシステム、信頼性や安全性が重要なアプリケーション。
    • コスト: オープンソースのため、ライセンス費用は不要ですが、企業向けにサポートを受けるためには商用サポートを利用する場合もあります。
  5. IBM DB2

    • 特徴: IBM製のデータベースで、大規模なトランザクション処理や高可用性が求められる環境に適しています。特にIBM製品との統合が強みです。
    • 適した用途: 大規模なデータウェアハウスや分析用途、IBM製品を使ったシステムの統合。
    • コスト: 高価で、特に大規模なシステム向けのコストがかかります。

DBMS選定のポイント

DBMSを選ぶ際に重要な要素は以下の通りです。

  1. コスト

    • ライセンス費用、サポート費用、必要なハードウェアなど、全体のコスト(TCO)を考慮しましょう。特に長期的に運用する場合、初期投資だけでなく維持費用も重要です。
  2. オペレーティングシステムのサポート

    • 自社で使用しているオペレーティングシステム(OS)との互換性が重要です。例えば、Microsoft SQL ServerはWindows環境に最適化されており、OracleやPostgreSQLはLinux環境でも広く使われています。
  3. 機能と性能要件

    • 必要な機能(トランザクション処理、高度なデータ分析機能、セキュリティ機能など)をサポートしているか確認します。また、システムのパフォーマンスやスケーラビリティも選定基準となります。

最適なDBMSの選び方

自社のニーズに最も合ったデータベース管理システムを選ぶことが、システムの効率的な運用と信頼性の確保につながります。たとえば、コストを抑えつつ軽量なデータベースを求めるならMySQLやPostgreSQLが適しており、大規模なデータウェアハウスや高可用性を求めるならOracleやIBM DB2が有力な選択肢となります。

DBMS選定のポイントを踏まえ、システム要件や予算に応じた最適な選択を行いましょう。

 
 
 
 
 

データベース設計をする上で使いたいテンプレート例

DBMS ER 図 (UML 表記)

DBMS ER 図 (UML 表記)

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FAQ・よくある質問

Lucidchart について

クラウドベースのインテリジェントな図作成アプリケーション、Lucidchart は、Lucid Software のビジュアルコラボレーションスイートのコアコンポーネントで、チームがリアルタイムで共同作業し、フローチャート、モックアップ、UML 図、カスタマージャーニーマップなどを作成できる直感的なクラウドベースのソリューションです。Lucidchart はチームが前進し、より迅速に将来を見据えて構築するための最高のツールとなります。Lucid は、Google、GE、NBC Universal などの顧客や、Fortune 500 企業の 99% を始めとする世界中の主要企業にサービスを提供しています。Lucid は、Google、Atlassian、Microsoft などの業界の主要企業と提携しており、創業以来、製品、事業内容と企業文化を称える各種の賞を多数受賞しています。詳細は lucidchart.com を参照してください。

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