バリューチェーン分析とは

バリューチェーン分析とは?その重要性と利用の始め方とは

読み取り時間 : 約7分

トピック :

  • オペレーション

インターネットの普及で企業は世界最大の顧客ベースへアクセスできるようになりましたが、競争もこれまでになく激化しました。ニッチ度の高いビジネスでさえ、思いもよらない分野で競合が見つかることもあります。こうした状況でも、バリューチェーン分析を行うことで、会社としての競争優位性を獲得することができます。

バリューチェーン分析の方法を学ぶことで、競合他社との差別化を図り、ビジネスに付加価値をもたらして、市場のリーダーとしての地位を固めるために役立てましょう。

空白のバリューチェーン分析テンプレート
空白のバリューチェーン分析テンプレート (クリックしてテンプレートを使用)

バリューチェーン分析とは?

バリューチェーン分析では、会社全体ではなく会社のプロセスを詳細に調べ、付加価値を加えられる場所を見出します。

1985年にマイケル・ポーターが最初に提唱したバリューチェーン分析フレームワークにおいては、企業は最終製品に貢献する主要な事業活動とそれを支える事業活動とを特定し、発想から納品までの生産の各段階を視覚化します。次に、これらの活動を分析して、ビジネスにおいて費用を節約できる点、効率性を向上できる点、差別化要因を最大化できる点を判定していきます。

価値分析と価値工学

価値分析と価値工学は同じ意味で使用されることがありますが、どちらも目的は製品のバリューチェーン全体でコストを削減し、効率を向上させることであり、使用される状況が異なるだけです。

価値工学は、製品の開発に価値を最適化することに焦点を当てたもので、設計段階で効率化を行うことで、不要なコストと価値の損失を防ぐことを目指しています。

一方、価値分析は、既存の製品の価値の最適化に注目したもので、製品のバリューチェーンを見直してコスト削減の機会を見出す遡及的な手法です。価値工学が予防的であるのに対し、価値分析は是正的であると言えます。

バリューチェーン分析の利点

バリューチェーン分析では、最小のコストで企業とその顧客に最大の価値を生み出す方法を見出すことを目指します。ビジネスを構成する一つ一つの活動を明確に把握せずに改善のための推奨をしても、推測のみに基づくものとなりがちです。変化が意義ある事業価値をもたらすのか、それとも利害関係者の自己満足に終わるだけなのかを判断するためにも、バリューチェーン分析の実施が重要となります。

バリューチェーンを改善することで、企業の競争力を高めることもできます。差別化を図り、競合他社に差をつけるためには、大きく分けて2つの方法があります。

最安値を提供するプロバイダーであること : これは「Walmart 式のオプション」です。運営費用を削減して市場で最も低価格な製品を提供することを目指す場合、この目標をバリューチェーン分析全体の意思決定要因とする必要があります。

最も専門的なプロバイダーであること : これは「Nordstrom 式のオプション」です。独自の製品や体験の創出を目指す場合、これがバリューチェーン分析全体の意思決定要因となります。

バリューチェーン分析の例
バリューチェーン分析の例 (クリックしてサンプルテンプレートを使用)

バリューチェーン分析の方法

以下の手順でさっそく自社に合わせたバリューチェーン分析を開始してみましょう (上記のテンプレートのいずれかをクリックすれば、Lucidchart で作業を進められます)。

1. 一次活動と二次活動を特定する

ビジュアルには、ポーターのバリューチェーンモデルに従い以下のバリューチェーンコンポーネントを含めます。これらは、主な活動とサポート活動の2種類に分けられます。主な活動とは、最終製品の作成に必要な活動であり、以下が含まれます。

  • 購買物流 : サプライヤーから原材料や部品を受領し、生産プロセスのためにこれらの材料を保管・配布するプロセス
  • オペレーション : 投入物 (原材料、労働力、エネルギー) を最終製品やサービスに変換するプロセス
  • 出荷物流 : 最終製品の保管と流通センター、卸売業者、小売業者、顧客への流通
  • マーケティングとセールス : 製品やサービスを適切な顧客層に絞り込み、さまざまなチャネルで宣伝し、販売部隊を組織するプロセス
  • サービス : 設置、トレーニング、修理、メンテナンスなど、購入者にとって製品やサービスが効果的に機能し続けるために必要な活動

サポート活動は、主な活動が会社の競争上の優位性を達成するのを支える役割を果たし、以下のようなものが含まれます。

  • 技術開発 :企業がプロセスを自動化し、新製品を開発するために技術をどう使用するかを決定するための研究
  • 人的資源管理 : 成功に必要な従業員の採用、トレーニング、維持に関連する活動
  • 調達 : 予算内で最高品質の原材料を調達する活動
  • 企業インフラ : 企業の構造、経営、計画、会計、財務に関わる活動

人材採用から設計、パッケージング、トラブルシューティングまで、会社に付加価値を与えるすべてのビジネスプロセスを含めます。

部門別の日常業務の詳細を部外から把握するのは難しいため、各活動を担当する部門のリーダーに詳細を聞き、チームワークで分析のプロセスを進めましょう。

2. 事業活動を分析する

ここで、バリューチェーン分析を行うそもそもの目的に立ち返ります。自社における付加価値の源泉が専門化によるものか、低価格によるものかを見極め、この原則に沿って意思決定を行っていきます。

事業活動の一つ一つを提供する価値に結び付け、最大の価値を提供するために会社として何をすべきか、何を変えるべきかを評価していきます。

例えば、「サービス」の主な活動には、サポート電話への対応も含まれます。コスト削減を目指す場合には、サポート電話対応をコールセンタープロバイダーにアウトソーシングし、通話1回あたりの時間をできるだけ短くすべきでしょう。

対して、専門化を通じて付加価値を提供することを目指す場合には、一件一件のサポート電話対応の質を向上させることを目指すこともできます。サービス品質向上のための通話後アンケートを実施することも有効でしょう。ビジネスを構成するあらゆる活動の側面にもれなく目を向け、コストを下げてより低価格の製品を生産するか、専門性を高めてよりユニークな製品を生産するか、どこに付加価値を加えられるかを判断していきます。

3. アクションプランを作成する

ご想像のとおり、バリューチェーン分析にはかなり時間がかかりますので、プロセス中やプロセス後に勢いを失わないようにすることが重要です。付加価値を特定したら、実際にそれらの意思決定をビジネスに組み込む必要があります。

最初に、一番手軽に実行でき、成果が出やすい変更から選択します。これらの変更は、スターを付けたり、強調表示したり、独自のフローチャートにするなど、バリューチェーン分析モデルでビジュアルで区別しておくことができます。(Lucidchart のバリューチェーン図テンプレートを使えば、バリューチェーンを簡単にマッピングし、コスト削減の機会を特定できます)。

勢いを保つには、こうした手軽な変更から始めて成功を実感することが大切です。チームが変更の効果を確認できれば、より大きく、複雑な付加価値への取り組みに挑戦できる可能性が高くなります。

改善効果が限定的で、多大なコストがかかる変更では、実行するだけの価値がない可能性があります。ビジネスに中程度から重要な価値を付加でき、実用的かつ実現可能な変更を選ぶようにしましょう。

実行したい変更に優先順位を付け、変更の詳細を関係者と共有して、承認とサポートを得られるようにします。

バリューチェーン分析に Lucidchart を活用

バリューチェーン分析は高度に視覚的な取り組みとなるため、企業で使える視覚的なプラットフォームが必要となります。クラウドベースの作図プラットフォーム Lucidchart を使えば、すぐに配布してリアルタイムで更新できるバリューチェーン分析モデルを簡単かつスピーディに作成できます。また、Lucidchart で作成したバリューチェーン分析図をいつも使用しているアプリに統合したり、プレゼンテーションモードでスライドを作成したりもでき、関係者にバリューチェーン分析をシンプルかつ見やすい形でプレゼンすることができます。

バリューチェーン図テンプレート

Lucidchart のバリューチェーン図テンプレートを使用して、どんな小さな事業活動にも価値を付加できる実用的なバリューチェーン分析モデルを作成しましょう。

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