アジャイル、ウォーターフォール、カンバンとスクラムの比較 : その違いは?

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トピック :

    プロジェクト管理手法にあまり詳しくない方には、カンバンボードとスクラムボードの違いを見分けるのが難しいかもしれません。また、アジャイルとウォーターフォールの違いの重要性も分かりにくいでしょう。似たような用語が多すぎ、どのプロジェクト管理手法を選んでも大差はないように思えるかもしれません。

    ですが、手法のそれぞれに違ったメリットが確かにあります。それを見逃さないよう、以下のフローチャートを使ってチームに適したプロジェクト管理手法を見つけ、解説を確認してアジャイル、ウォーターフォール、カンバンとスクラムの違いを比較してみましょう。

    アジャイル、ウォーターフォール、カンバンとスクラムの比較
    アジャイル、ウォーターフォール、カンバン、スクラムなど、プロジェクト管理手法がわかる究極のガイド

    アジャイル、ウォーターフォール、カンバンとスクラムの比較

    これらの手法には大きな違いがありますが、どの手法も、プロジェクト完了の支援を最終的な目標とする点では同じで、この目標に向けて、構造とコミュニケーションを通じ、チームの作業プロセス管理を支援していきます。手法を実践する方法はそれぞれ異なりますが、アジャイル、ウォーターフォール、カンバン、スクラムには共通点も多数あります。

    ただ、こうしたアプローチ間の違いは、傍から見るとかなり似ていて、紛らわしく思えます。スクラムボードとカンバンボードを使うタイミング、バーンダウンチャートとバックログの違い、スイムレーン図を取り入れる場所など、なかなか難しいものがあります。各手法に対応するプロジェクト管理のベストプラクティスを取り入れれば、このそれぞれに違いがあることが分かるでしょう。

    こうした方法論の間の違いは小さなものにも思えますが、確かに存在します。実際、こうした一見わずかな違いが、その実践に大きな影響を及ぼすのです。これを念頭に、プロジェクト管理手法の違いを一つ一つ見ていきましょう。

    ウォーターフォールの特徴

    ウォーターフォールプロジェクト管理では、プロジェクトは線形かつ連続的なステージに分割され、プロジェクトの各部分がその前の段階の成果物の完成に依存することになります。こうしたことから、ウォーターフォールには2つの独自性があります。

    フェーズが期間ごとに分離している

    ウォーターフォールプロジェクト管理は建築や製造業界から始まったものです。これらの業界では、1つのフェーズを完了しないと次のフェーズに進めず、例えば、構造物が完成しなければ屋根工事は始められません。したがって、ウォーターフォールのワークフローでは線形にフェーズを完了していくことが重要となります。

    ウォーターフォールでは、同時作業は行わず、フェーズがそれぞれ個別化されています。この手法を使う際は、次のステージを開始する前に各ステージを完了していなければならず、前のステージへ後戻りすることもできません。修正があれば、プロセス全体のやり直しが必要となります。そのため、プロジェクト管理スタイルをアジャイルとウォーターフォールから選ぶ際、ウォーターフォールは柔軟性が乏しい点に注意しておきましょう。

    ウォーターフォール手法のテンプレート
    ウォーターフォール手法の概要(オンラインで変更するには画像をクリック)

    徹底したドキュメント作成

    ウォーターフォールでは前のフェーズに戻ることができないため、プロジェクトの要件は事前に明確にしておく必要があります。この手法は要件の収集と文書化から始まり、次にこれらの要件をチームメンバーがアクセス可能な状態にしていきます。

    プロジェクトが各フェーズを通じて進む中、チームメンバーも各自の作業内容を記録していきます。チームの人員構成に変更が予定されるチームの場合でも、ワークフローを中断することなくチームメンバーがプロジェクトに出入りできるようであれば、ウォーターフォール手法がうまく使えるでしょう。

    ウォーターフォールプロジェクト管理手法でできることとできないことを確認しましょう。

    詳細をチェック

    アジャイルの特徴

    アジャイル手法は、一般にソフトウェア開発の世界で使われるもので、作業や要件の完了に協調的で自己組織型、部門横断型のアプローチをとるものです。

    方法論として名前は耳にしたことがあるかもしれませんが、アジャイルプロジェクト管理とは、正しくはスクラムとカンバンを内包した方法論を指します。それでも、アジャイルプロジェクト管理とウォーターフォールプロジェクト管理には根本的な違いがあり、アジャイルでは、適応性のある同時進行のワークフローに重点が置かれ、ウォーターフォールの線形な性質とはまったく異なります。アジャイル手法にはそれぞれ、次のような特徴があります。

    同時進行のインクリメンタルな作業

    ウォーターフォールとアジャイルの方法論を比較する際、最も際立つ特性です。アジャイル手法では、プロジェクトを小規模な反復期間に分割しますが、これはユーザーテストや定期的な修正から恩恵が得られる製品 (ソフトウェアなど) に最も適しています。

    アジャイル方法論テンプレート
    アジャイルソフトウェア開発ライフサイクルの概要(オンラインで変更するには画像をクリック)

    適応性

    アジャイル手法は漸次的に進むため、チームはプロセスをある程度の頻度で調整できます。ウォーターフォールのプロセスが固定され、柔軟性に乏しい性質に対し、アジャイルでは必要に応じてワークフローを改善し、調整することが奨励されます。

    アジャイルの適応性は、要件や制約の変化が想定されるプロジェクトに特に適しています。こうした変更はできれば避けたいものですが、アジャイル手法を選べば、変更に合わせてプロセスを適応させていくことができます。

    アジャイルソフトウェア開発ライフサイクルのステージについて詳しく確認しましょう。

    詳細をチェック

    カンバンの特徴

    アジャイルと比較されることも多いですが、カンバン手法とは、正確にはアジャイル方法論の特定のタイプに属するもので、作業と、作業員のキャパシティと対応能力との調整を取り、よりよいバランスを実現することを目指したものです。上述のアジャイル方法論の原則を利用していますが、その実装の方法は独特です。

    カンバンボード

    「カンバン」とは、チームのワークフローを視覚化するボードを意味します。このボードは、すべき作業、仕掛中の作業、完了した作業のカテゴリー別に分割され、チームは必要に応じてカテゴリーを追加し、プロセスを視覚化することができます。タスクはそれぞれカンバンボードに記録され、チームのプロセスの進捗に伴いボードの列から列へと移動していきます。

    カンバンボードは、チームメンバーで常に状況を共有するだけでなく、プロセスの改善を要する場所を特定するのにも役立ちます。ボトルネックなどの問題が目立つようになり、必要に応じて修正しやすくなります。

    カンバンボードテンプレート
    優先順位付きの基本的なカンバンボード(オンラインで変更するには画像をクリック)

    仕掛りの制限

    カンバン手法では、特定の時点における仕掛中の作業に厳しい制限が設けられています。アクティブな状態となっている作業の列のカード数に上限を割り当て、この上限に達すると、タスクが完了し、次の列に進められるまで、この列に新しい作業を追加することはできなくなります。この仕組みも、チームがボトルネックを特定し、メンバーが集まって積極的に修正する上で役立ちます。

    継続的改善

    カンバン手法の目標は、チームのプロセスを改善することです。チームは定期的に集まり、カンバンボード上のデータに基づいて変更すべき点を話し合います。

    こうしたミーティングを定期的に開くことで、チームで継続的にプロセスを修正し、調整することができ、急激かつ劇的な変化を伴うことなくワークフローを改善できるため、どんなチームでもカンバンの実装がしやすくなります。

    カンバンプロジェクト管理手法でチームを改善する方法を確認しましょう。

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    スクラムの特徴

    最後にご紹介するスクラムプロジェクト管理は、アジャイル方法論の一派で、プロジェクトをよりスピーディに完了するために漸次的なアプローチをとるものです。スクラム手法は通常、ソフトウェア開発などの複雑なナレッジワークに使われます。カンバンとの比較では、カンバンが主にプロセス改善を目的とするのに対し、スクラムではより多くの作業を迅速に完了することに注力します。

    スプリント

    スクラムでは、2週間の「スプリント」を使って作業を完了していきます。こうしたスプリントは、事前に計画し、実行した後、2週間の終了時点でレビューを行います。スプリント計画の際にチームはスプリントバックログを作成します。スプリント期間にこれらのバックログのタスクを完了し、各自の作業を管理します。

    加えて、スプリント中は毎日15分間のスクラムミーティングを行い、プロジェクトの成功を阻む潜在的な障害について議論し、前日の作業や当日のタスクについても見直しを行います。このスクラムミーティングを行うことで、チームのコラボレーションと情報共有がスムーズに進みます。

    スクラムプロセス図
    スクラム SDLC モデル図(オンラインで変更するには画像をクリック)

    スクラムマスター

    スクラムマスターは、チームをプロダクトオーナーとつなげる役割を担います。プロジェクトの開始前にプロダクトオーナーと共同で要件の定義を行い、その後、チームのスプリント計画をサポートします。スプリントの開始後は、発生する障害を取り除く手助けをします。

    スクラムマスターは従来型のプロジェクトマネージャーとは異なり、作業の管理ではなく支援を行うのが重要な点です。スクラム手法は、チームが自ら生産性の管理を行うための手法で、スクラムマスターは単にそれを後押しする役割を担うのです。

    バーンダウンチャート

    スクラムでは、チームメンバーが一目で進捗状況を確認できるよう、スプリント中にバーンダウンチャートを使用します。このチャートは、完了したタスクを示すのではなく、残ったタスクを示すもので、継続的に更新することで、チームメンバーが各自のワークフローを管理しやすくなります。

    スクラムプロジェクト管理手法がチームに適しているかどうか分かりませんか?

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    プロジェクト管理方法の選び方

    チームとその目標により、選ぶべき手法も異なってきます。手法を決める際にはこんな点を自問してみましょう。

    チームが達成したい目標は?

    どの手法でも第一の目標としてはプロジェクトの完了を目指していますが、第二の目標はそれぞれまったく異なります。自分のチームの目標を明確にすることで、最適な手法が見えてきます。

    チームに対して何を一番望むかを考えてみましょう。単純に作業のスピードアップを図りたいなら、スクラム。生産プロセスを改善したいなら、カンバン。プロジェクトが線形のワークフローに沿って進むなら、ウォーターフォール。よく分からないなら、その他のアジャイル手法を検討しつつ、次の内容を問いかけてみましょう。

    実際に定着しそうな手法はどれ?

    プロジェクト管理手法にはそれぞれ違いがありますが、継続的にその手法を使わないとすれば、どれを選んでも同じです。例えば、仕掛りの制限がなければ、カンバンは単なるアジャイルの複雑版ということになります。また、ウォーターフォールでフェーズを分離した状態に保てなければ、これも結局アジャイルのようなものになってしまいます。

    そのため、チームが実際にしっかり実践できる方法こそが、最適なプロジェクト管理手法となります。手法を断片的に取り入れても、そもそもその手法が人気である所以のメリットを享受することはできません。チームのニーズに合わせて手法を調整することもできますが、調整は必要な場合にとどめ、手法はできるだけ原則に忠実に適用するのがベストです。

    アジャイルウォーターフォールカンバンスクラムの特徴を詳しく学び、選択してさっそく実践してみましょう。

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