スクラムマスターのスキル

スクラムマスターの役割と責任範囲、資格認定

Lucid Content

読み取り時間 : 約8分

アジャイルの状態に関する年次レポート第15号 (15th Annual State of Agile Report) によると、企業の66%がアジャイルの手法としてスクラムを使用しています。こうした企業の数が増え、アジャイルが人気を集めるにつれ、スクラムマスターの需要も高まるものと考えられます。

スクラムマスターの役割に興味がある方も、自分のスクラムチームで効果的なプラクティスが確立できているかを確認したい方も、スクラムマスターの重要なスキルと責任範囲について確認してみましょう。

スクラムマスターの役割と責任範囲
スクラムマスターの役割と責任範囲(オンラインで変更するには画像をクリック)

スクラムマスターとは?

まずおさらいしておくと、スクラムはアジャイルソフトウェア開発のサブセットです。2020年スクラムガイドでは、「スクラムは、複雑な問題に対する適応型のソリューションを通じて、人、チーム、組織が価値を生み出すのに役立つ軽量のフレームワークです」と説明されています。

スクラムマスターは、スクラムチームとより広範な組織がスクラムの理論と実践を理解し、適用するのを助けるファシリテーター兼コーチとして、チームが目標を達成する上で妨げとなる可能性のある障害や気の散る要素を巧みに取り除くことでスクラムチームがより効果的に作業できるようにし、スクラムチームとチーム外の個人やチームとの連絡役を務めます。

スクラムマスターの主な責任範囲4つ

スクラムマスターの肩書には「マスター」という単語が入っていますが、プロジェクトや開発チームの責任者という意味ではなく、Lucid のチーフエバンジェリストであり、何千人もの訓練と指導に携わってきた認定スクラムトレーナーである Bryan Stallings は、スクラムマスターの役割を次の2種類の技能の組み合わせとして説明しています。

「マスター・オブ・セレモニー (司会者) は、イベントの計画どおりの進行を保証し、フェーズ間の移動を促進し、予期しないことが起こった場合に介入できるようにします。クォーターマスター (補給官) は、作業員が任務を遂行するために必要なものをすべて提供します。スクラムマスターはこれら2つの技能をまとめ、スクラムイベントが効果的に進行するようにし、障害が発生したときに介入して、チームが成功するために必要なものをすべて提供します。」

スクラムマスターの役割には主に以下のような責任範囲が含まれます (2020年スクラムガイドでは「説明責任」と呼ばれています)。

1. チームメンバーのコーチング

スクラムマスターは、チームメンバーが十分なトレーニングを受け、アジャイルの価値と原則、スクラムのイベントと成果物に加え、それぞれの責任を確実に理解できるよう支援します。

スクラムマスターはある意味、チームの鏡のような役割を果たし、チームの現状を可視化することで、チームがより高いパフォーマンスを実現し、適応して機能できるようにします。コーチングの手間を少しかければ、スクラムチームは自己管理できるようになり、責任を持って業務に取り組み、コミットメントを共有できるようになります。

スクラムマスターは、チームメンバーが製品のスコープとビジョン、スクラム理論、スクラムの慣行とチームの規範を遵守する方法を理解できるよう支援します。

スクラムマスターは、影響力と説得をもってその役割を果たします。スクラムチームには階層がないため、マスターに正式な人事管理責任はありません。また、プロジェクトの成果に対して責任を負うのはスクラムマスター個人ではなく、スクラムチーム全体となります。

2. プロセスを改善するためのテクニックを組み込むことでプロダクトオーナーを支援

プロダクトオーナーは、 製品バックログ (提供後に顧客にとって価値のある順に並べられた動的な作業リスト) を作成、維持、伝達する責任に加え、製品の目標や製品バックログが達成しようとしている長期的な目標を開発し、明確に伝える責任も担います。スクラムマスターは、プロダクトオーナーがこうした責任を果たすための支援を行う方法を探します。

スクラムマスターは、プロダクトオーナーが製品の目標を効果的に定義し、製品バックログをより適切に管理するための手法を見つけるうえでサポートを提供します。これを達成するための一般的なアプローチに、プロダクトオーナーと開発者が協力して、今後の製品バックログ項目のコンテキスト、説明や期待について話し合い、明確にする定期的なバックログ調整セッションがあります。スクラムマスターは、製品計画の経験的なプロセスを確立する上でもプロダクトオーナーと協力します。

製品バックログの例
製品バックログの例(オンラインで変更するには画像をクリック)

3. 障害物を取り除く

各スプリント中に実行すべきタスクに集中できるよう、チームメンバーは気の散る要素や進捗を妨げる障壁を特定します。チーム自身ですぐに解決できない障害については、スクラムマスターがチーム内、他のチーム、組織全体で協力して、障害が取り除かれるよう調整します。

例えば、チームメンバーが関係のない会議の参加に時間を取られている場合、スクラムマスターはそうした会議の主催者と協力して、本当に出席すべき人物を見極めることができます。また、多方面で無関係なタスクを担当させられているメンバーの場合には、プロダクトオーナーなどのステークホルダーと一緒に状況を調整することができます。

4. 組織内でのスクラムの実践と原則の普及

作業の遅延を防ぐため、トレーニング、コーチング、アドバイスを通じてスクラムを実装する組織を導くことも重要なスクラムマスターの役割です。これには、スクラムの哲学、価値、構造を教え、提唱することが含まれ、組織が行う作業に経験的アプローチを取り入れることを主に目指していきます。

また、スクラムマスターはステークホルダーとスクラムチームとの間の対話を促進し、オープン性、尊敬と学びを促進します。

スクラムマスターの職務内容と必要な資質

スクラムマスターの役割を追求するために必要な資質はどのようなものでしょうか。多くの企業では、一般的にスクラムマスターの職務に以下の前提条件を求めます。

必要な教育を受け、経験を有している

スクラムマスターの職務内容としては通常、応募者に学士号以上の学位が求められ、技術関連の職務経験が重視されます。また、時間的制約が大きい取り組みにおいてチームメンバーやステークホルダーと協力できる対人能力も求められます。

優れた口頭と書面でのコミュニケーションスキルがある

スクラムマスターのスキルの中でも重要度が高いものがコミュニケーションスキルです。スクラムマスターは、チーム内、またその他の主要なステークホルダーをつなぐ主な連絡役を務めることになります。口頭や書面での効果的なコミュニケーション能力に乏しい場合、1対1やグループでのやりとりが苦手な場合にはあまり向いていないかもしれません。

チームメンバーとの共同作業や主要なステークホルダーへの報告を効果的に行うには、スクラムボードバーンダウンチャートなどのビジュアルが役立ちます。

スクラムマスター認定の取得を検討する

スクラムマスター認定トレーニングやコースにはさまざまなものがあり、スクラムマスター採用条件にこうした認定を含める企業もありますが、資格は必須ではありません。ただ、適切な資格があれば、スクラムマスターの求人に応募する際に他の応募者よりも優位に立てるかもしれません。

スクラムマスター認定を受けるには

認定機関はいくつかあり、その中から選択することができます。要件は機関ごとに異なり、トレーニングコースへの参加が必要なものもあれば、柔軟なオンライントレーニングが可能なものもあります。どのプログラムでも、認定を完了するためにテストまたは評価に合格する必要があります。

スクラムマスター認定コース

採用専門家の多くは、認定スクラムマスター (Certified ScrumMaster®)プロフェッショナルスクラムマスター (Professional Scrum Master™ I) のいずれかの取得を勧めています。採用担当者や人事担当者にも重視されやすい資格といえます。

こうしたプログラムは、基本的なスクラムマスター認定資格に加えて、下位のレベルをベースにスクラムの慣行と応用をより深く理解する上で有効です。さらに、以下のような他のスクラム認定プログラムも充実しています。

  • スクラムプロダクトオーナー
  • スクラム開発者
  • スクラムコーチ
  • スクラムトレーナー

スクラムマスターの資格を取得すれば、キャリアアップの可能性が生まれ、大幅な給与アップが期待できるでしょう。可能性は大きく広がっています。

スクラムマスターの一般的な給与水準は?

他のスキルを要する職種と同様、スクラムマスターの給与も業界、勤務地、経験によって異なります。2022年の PayScale.com の調査によれば、スクラムマスターの給与水準は63,000ドルから126,000ドルで、中央値は89,666ドルとなっています。

スクラムマスターはスクラムにおける一つの役割に過ぎません。完全なスクラムチーム構造を構築する方法を学びましょう。

やり方をチェック

Lucidchart

クラウドベースのインテリジェントな図作成アプリケーション、Lucidchart は、Lucid Software のビジュアルコラボレーションスイートのコアコンポーネントで、チームがリアルタイムで共同作業し、フローチャート、モックアップ、UML 図、カスタマージャーニーマップなどを作成できる直感的なクラウドベースのソリューションです。Lucidchart はチームが前進し、より迅速に将来を見据えて構築するための最高のツールとなります。Lucid は、Google、GE、NBC Universal などの顧客や、Fortune 500 企業の 99% を始めとする世界中の主要企業にサービスを提供しています。Lucid は、Google、Atlassian、Microsoft などの業界の主要企業と提携しており、創業以来、製品、事業内容と企業文化を称える各種の賞を多数受賞しています。詳細は lucidchart.com を参照してください。

関連する記事

Lucidchart で今すぐ作図を初めましょう。無料で使えます!

無料ではじめる

または以下の方法で続行

Google でサインインサインインMicrosoft でサインインサインインSlack でサインインサインイン

利用開始

  • 料金プラン
  • 個人向けプラン
  • チームプラン

  • 企業向けプラン
  • 営業担当に問い合わせる
プライバシー法的事項

© 2024 Lucid Software Inc.