経営戦略を迅速に「ピボット」する方法

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トピック :

    経営戦略とは?

    経営戦略とは、企業が長期的に持続的な競争優位を確保し、目的(ビジョンや目標)を達成するための全体的な方向性や計画のことです。簡単に言えば、「会社としてどのように勝ち抜くかを決める道筋」です。

    しかし人生は転機に満ちており、優れた物語の中にも、多くの転機が含まれているものがあります。転機は、最初は戸惑うかもしれませんが、必要な成長と変化のきっかけとなることがよくあります。

    ビジネスに関して言えば、この転機を戦略的ピボットと呼ぶことができます。これは思ったほど大変なことではありません。単純な社名変更、全面的なリブランディング、まったく新しい収益モデルの構築など、検討する内容が何であれ、企業が成功を維持するためにはシフトが必要な転換点 (ピボットポイント) に達することは珍しいことではありません。

    それでは、迅速かつ効果的にピボットを行うため、企業が知っておくべきことを掘り下げてみましょう。

    経営戦略をピボットすることの意味

    市場の状況は常に変化しており、よく練られた計画でさえ再評価が必要になることもあります。大きな成功を収めている企業は、ビジネスを行う間に多くのピボットを経験することがあります。ビジネスにおけるアプローチのピボットとは、新しい情報に基づいてビジネスモデルの基本的な仮定や信条を再評価し、それに応じて計画を調整することを意味します。

    経営戦略のピボットが必要なタイミングを見極める

    戦略的ピボットは、ビジネスモデルや戦略の失敗により生じることもあります。しかし、すべての「失敗」がビジネスの失敗につながるわけではないことを覚えておくことが重要です。むしろ、企業は過去の決定や計画にある欠点を教訓とし、戦略的ピボットを改善することができます。

    時には、企業は自らがコントロールできる範囲を超えた状況により戦略的な転換を迫られることもあります。その例としては、コロナ禍が挙げられます。小規模な店舗から巨大企業まで、ほとんどの企業が数週間でテレワークに移行するか、従業員の雇用を維持する方法を迅速に見つける必要がありました。

    では、戦略のピボットが必要なタイミングをどうやって判断すればよいのでしょうか。主要な指標が変化の兆しを示している場合、そのピボットが組織全体の大規模な変更になるのか、より単純な変更になるのかを見極めることが重要です。チームが限界に達しているか、生産性や定着率が低下している場合、チームを再編成し、追加人員を確保する時期かもしれません。顧客基盤が変化している、または競合他社に流れている場合、顧客の現在のニーズや接し方を再評価する時期かもしれません。レガシーなシステムやプロセスにより遅れをとっている場合、競合他社に追いつき、顧客の期待に応えるためには、おそらく本格的なDXが必要でしょう。

    ここでは、ビジネスをピボットするための一般的な3つの方法と、それらを効果的に実行する方法を紹介します。

    ビジョンをピボットする

    ビジョンのピボットは、おそらく最も包括的で最も難しいタイプの経営戦略のピボットです。そのため、組織全体での調整と協力が非常に重要となります。

    ビジョンの包括的な変更が必要になるのは、新興技術によって提供する製品が時代遅れになるためかもしれません。あるいは、小さなピボットを何度も行って、組織の戦略的方向性が変わったためかもしれません。ビジョンに関する戦略的転換を行う際には、可能な限り多くのデータポイントを検討し、主要なステークホルダーや投資家、アドバイザーを巻き込んで進めることで、思わぬトラブルや判断ミスを回避することが重要です。

    ビジョン調整テンプレートを使用して、ビジョンのピボットに着手しましょう。

    ビジョン調整テンプレート (クリックしてテンプレートを使用)
    ビジョン調整テンプレート (クリックしてテンプレートを使用)

    製品をピボットする

    変化する市場環境、顧客の需要、新たな研究、技術の進歩に適応するために、製品は進化する必要があります。Starbucksのように世界的に成功した企業でさえ、新鮮さを保つためにメニューを切り替えています。

    製品をピボットする際は、まず顧客からのフィードバックを必ず取り入れましょう。顧客のフィードバックをもとに、どの程度のピボットが必要かを判断します。まずは小さな変更から始め、その影響を測定し、試行を繰り返して、そこから学んだことを取り入れていきましょう。

    戦略をピボットする

    戦略のシフトはビジョンの変更に似ていますが、個々のチームや部門に関する特定の戦術に焦点を当てています。あなたの会社が新興顧客層をターゲットにすることを決めた場合は、チャネル戦略やブランドボイスを変える必要があるかもしれません。ビジネスのピボットにより全く新しい市場に進出する場合、組織のあらゆる部門にわたって戦略、アプローチ、プロセスを再評価する必要があるかもしれません。いずれにせよ、ビジネスの戦略的ピボットは、過去にうまくいったこと、そしてうまくいかなかったことに基づいて行うべきです。

    ピボット戦略を実行する方法

    いつ、どこでピボットが必要か評価したら、次は組織をより収益性の高い方向に導く方法について考えましょう。

    顧客の声を聞く

    顧客中心の考え方を持っていれば、決して道を誤ることはありません。これはおそらく、経営戦略のピボットを行う際に最も重要な部分でしょう。何よりも、すでに顧客にとってうまく機能しているものを変えたくはありませんし、顧客不満を招くような変更は確実に避けたいところです。顧客からのフィードバックには細心の注意を払いましょう。これは多くの場合、戦略的思考を進める上で大いに役立ちます。

    以下に挙げるお客様の声マトリクスやリッカート尺度のテンプレートは、顧客からのフィードバックの収集と分析に非常に役立ちます。

    お客様の声マトリックス (クリックしてテンプレートを使用)
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    リッカート尺度テンプレート (クリックしてテンプレートを使用)
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    迅速に動く

    いったんピボットすることを決断したのなら、その決定に至ったデータとインサイトを信頼し、素早く行動しましょう。決定力のある行動は、時間、労力、資金の浪費を避けるのに役立ちます。それに加えて、変化に不安を抱くかもしれない従業員の間で信頼を築くことができます。ピボット戦略を成功させるには、全員が足並みを揃えて取り組む必要があります。

    目標をピボットに合わせる

    繰り返しになりますが、ピボットは通常、経営戦略の全面的な見直しではありません。それでも、マラソンのタイムを5キロレースの目標と比べることはないでしょう。同じことがどんなビジネスのピボットにも当てはまります。設定したマイルストーンを途中で見直し、状況に応じて調整して、正しいゴールに向かって間違いなく走るようにしましょう。

    壊れていないものは直さない

    ピボットでは、必ずしも戦略計画を全面的に見直す必要はありません。チームは以前の戦略計画を実行する際に、賢明で戦略的な決断を数多く下したはずです。何がうまくいっていないのかを正確に突き止めることが重要です。そうすれば、以前の成功につながった良い仕事は無駄になりません。

    成長志向を維持する

    ビジネスのピボットは障害を回避するために確かに役立ちますが、最初の障害のすぐ後ろに別の障害がないことを確認してください。ピボットのための戦略的計画を立てる際には、新しい道における成長と拡大の機会を考慮しましょう。新しい合理化されたサービスが戦略的に理にかなっている場合もありますが、顧客基盤が縮小する結果になれば、拡大と成長の機会が限定されます。

    戦略的なピボットを伝える方法

    ビジネスのピボットは、多くの企業にとって不確実な時期となります。組織がピボットを行う際に最も重要で、注力すべき要素の一つはコミュニケーションです。社内外のすべてのステークホルダーを巻き込んだ包括的なコミュニケーション計画は、戦略の転換期においても透明性と信頼を維持するために役立ちます。

    ストーリーを伝える

    計算を行い、正しい戦略的ピボットをしようとしていることを確信したのなら、それをしっかり伝えましょう。

    では、どう伝えればよいのか。専門家のアドバイスを参考にしましょう。『WHYから始めよ! インスパイア型リーダーはここが違う』の著者、サイモン・シネック氏は、行動を促すリーダーがゴールデンサークルモデルに従う方法について語っています。ゴールデンサークルモデルとは、最初に何をするかを伝えるのではなく、まず何かをする理由 (目的) を伝え、それからどのように行うか、最後に何をするかを伝えるという考え方です。

    データストーリーテリングも、企業ブランドの将来的なビジョンを描くために役立ちます。社内外のコミュニケーションにデータの視覚化を取り入れて、どこで問題が発生していたのか、そしてピボットによってどのように軌道修正できるのかを的確に示しましょう。

    あなたの組織で取り入れられる7つのチェンジマネジメントモデルについて学びましょう。

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    継続性を示す

    あなたのビジネスは信頼の上に成り立っているので、ピボットにおいては継続性を示すことが重要です。ピボットがブランドと会社にとって、スマートで有機的な進展として捉えられれば、顧客やその他の外部の利害関係者は、ピボットを不安定さを示すものではなく、刺激的な変化と見なすでしょう。ブランドのビジョンがより広い社会的目的 (例:「世界中の情報を整理し、誰もがアクセスできて役に立つようにする」というGoogleのブランドミッション) と一致していれば、ブランドに有機的な柔軟性を組み込んで、より多くのピボットとイノベーションを実現できます。

    組織として、明確なプロダクトロードマップスプリントプランニングテンプレートを作成し、ピボットを成功させる方法を正確に示すこともできます。

    共感を持つ

    ピボットをどれだけうまく伝えても、一部の従業員、顧客、利害関係者は依然として変化に慎重となるでしょう。プロセスや会社構造に生じると思われる変化への反発には、共感を示しましょう。

    変化は現代のビジネスにおいて不可避です。経営戦略のピボットを行う理由が何であれ、賢明な企業は、迅速かつ決断力のあるピボットを受け入れることを学び、これまでの学びを土台にしながら、事業の持続可能性を確保していきます。

    戦略的なシフトが必要な場合は、Lucidがお手伝いいたします。

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