製品のポジショニング

製品ポジショニング戦略の成功に重要な要素

読み取り時間 : 約8分

トピック :

  • 製品開発

会社の規模や製品の発売経験にかかわらず、大きなアイデアを市場に出すためには、長い To-Do リストを完了し、優先順位を決めていく必要があります。製品の販売方法、プロモーションのために作成すべきデジタルアセット、製造と流通の方法、需要と顧客満足度を維持するために採用すべき人材など、考えることは山積みです。

こうした質問には、一気に答えてしまいたくなることもあります。スタートアップ企業の CEO の多くは、直ちに需要やリードを獲得するという名目で、メッセージングやブランド構築を急ぎがちです。ただ、この段階で優先すべきは、対象の製品が市場で占める位置、既存製品との違い、顧客が注目し、気にかけるポイントをしっかり見極めておくことです。

これがいわゆる製品のポジショニングと呼ばれるステップで、長期的な成功を実現する上で最も重要なプロセスです。この記事では、市場での自社の製品の位置づけを定める方法を詳しく説明します。

製品ポジショニングの概要
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製品ポジショニングとは?

製品のポジショニングを簡単に定義すれば、自社の製品やサービスが市場でどのような位置にあるかを、その特徴をすべて説明し、他の製品やソリューションと比べて優れている点や理由を示した上で定めるということになります。

製品のポジショニングは、自社製品の基盤をなすメッセージとして、マーケティングチームの制作するコンテンツからセールスチームの潜在顧客に対するトークの内容まで、市場投入計画全体に影響を及ぼします。こうした基盤がなければ、マーケティング計画は他社との競争を勝ち抜けないでしょう。ポジショニングの有効性を高めるには、対象顧客とそのニーズを念頭に置き、どうすればそうしたニーズに自社製品が直接、かつ効果的に対応できるかを考える必要があります。

とはいえ、製品のポジショニングは、既存市場が存在しない製品にも応用できます。Apple 創業者の Steve Jobs は次のような名言を残しています。

「人は形にして見せてもらうまで、自分は何が欲しいのかわからないものだ。歴史のページにまだ書かれていないことを読み取るのが僕らの仕事なんだ。」

新しい製品カテゴリーや市場の創造を目指す際には、製品のポジショニングを通じて顧客がこれまで気づいていなかったニーズにアピールする方法を固めます。

製品のポジショニングで考慮すべき要素

製品の種類にかかわらず、製品のポジショニングでは以下の7つの要素を考慮する必要があります。

ミッション

製品の「存在意義」となる要素です。製品が存在する理由、顧客が暮らしの改善や問題の解決のために製品を使用する方法を考えます。ミッションを明確にすることで、市場でそれを実現する方法もより具体的に考えられるようになります。

市場カテゴリー

自社製品が他社製品と競争する場所が、市場カテゴリーとなります。どのような製品を販売するかから考えましょう。新興市場の開拓や市場カテゴリー自体の新設を狙う場合には、このステップでそのための理由付けをし、定義する必要があります。

顧客の抱える問題点

顧客の抱える主な問題点、自社製品がそのうち1つ、あるいは複数に対応できるかを考えます。こうした課題に対する解決策として自社製品を位置づけるにはどうすればよいでしょうか。

顧客の体験に加え、自社の製品やサービスが顧客に共通する問題点を解決する方法を検討する際には、カスタマージャーニーマップ共感マップやユーザーペルソナカードなどを作ってみましょう。製品戦略に携わる全員がこうした情報の共有を通じてつながることができ、記録を残すこともできます。

ユーザーペルソナカードの例
ユーザーペルソナカードの例(オンラインで変更するには画像をクリック)

会社と製品の差別化

大きな問題であれば、すでに他社が取り組んでいることも多いものです。そうした場合は、自社製品の方が問題に対してより優れた解決策を提供できること、そしてその方法をいかに示すかが鍵となります。飽和した市場においては、競合製品との差別化を図ることが重要となります。

ブランドのアイデンティティ

最も認知度の高い既存のブランドを思い起こしてみましょう。Nike のスウッシュやStarbucks の緑のマーメイド、Target のターゲットマークなど、こうしたシンボルを見せられれば、企業名がなくともブランドを特定できるはずです。また、ロゴ自体に何らかのイメージや感情を呼び起こす力があります。まさに、強力なブランドを体現するシンボルと言えます。こうしたアイデンティティを確立するには、自社が伝えたいことを具体的かつ象徴的に、内省とビジョンを踏まえながら考えてみましょう。

ビジョン

そもそもその製品を作った理由からビジョンを思い起こすのは比較的簡単ですが、製品の進化や未来に対するビジョンを定義するのは難しいでしょう。製品のポジショニングの一環としてこうしたビジョンを考える機会をもつことで、当面の製品の価値と今後の成長の可能性をより明確にすることができます。

製品ポジショニングのステートメント

上述の要素をもれなく検討すると、しっかりとした製品ポジショニングステートメントの作成に必要な情報が揃います。戦略的には、このステートメントが今後のすべてのマーケティング資料やメッセージングの核となるため、製品とその価値を対象層に具体的に説明するよう努めます。

製品のポジショニングのテンプレートには以下のようなものがあります。

この製品は [感情や解決策] を [必要とする/求める] [対象層] に向けて作られました。当 [社/製品] は、[機能/メリット] によりこれを独自の形で解決する [カテゴリー/ソリューション] です。

ステークホルダー全員がステートメントに同意できたら、顧客向けのクリエイティブなキャッチフレーズの作成に移れるようになります。

製品のポジショニングから市場投入まで - 成長のための戦略とテンプレート

製品のポジショニングの重要な要素を捉えるのにこれといって正しい方法はありません。このプロセスを管理し、新製品のポジショニングのあらゆる要素を総合的に見て、それぞれの要素の関連を視覚化できるテンプレートが多数存在します。こうしたテンプレートを共有しておけば、ステークホルダーが製品ポジショニングのさまざまな局面で必要に応じてコラボレーションしやすくなります。いくつかの参考になるモデルを見てみましょう。

製品ポジショニングのテンプレート

基本的な製品ポジショニングのテンプレートを使って、上記の7つの要素を個別に明確に定義することができます。情報を一つのテンプレートにまとめて整理することで、製品のポジショニングにおける相関関係や矛盾点を事前につかめるようになります。

ヒント : 製品ポジショニングの各要素についての洞察を集めた後、組織全体で調査結果を共有したり、広く伝えるためにもこのテンプレートを使用することができます。

製品ポジショニングの概要
製品ポジショニングテンプレート(オンラインで変更するには画像をクリック)

Ansoff マトリックス

製品ポジショニングに含まれる要素の中には、簡単に定義できるものも、定義にある程度のコラボレーションや調査を要するものもあります。こうしたステップでアンゾフの成長マトリクスを使用すると、市場内で対象製品が適合する箇所、成長のためのリスクと機会を正確に判断することができます。シンプルな2x2マトリックスで、製品ラインナップの拡大や会社の成長に合わせ、今後の意思決定にも枠組みとルールを加えることができます。

ヒント : アンゾフの成長マトリックスは、市場セグメント、顧客の問題点や製品の差別化要因など、製品ポジショニングの重要な要素を定義するのに適しています。

アンゾフのマトリックステンプレート
アンゾフのマトリックス(オンラインで変更するには画像をクリック)

ビジネスモデルキャンバス

何気ない会話や取り散らかったメモから大きなアイデアが生まれることも多いものです。こうした場面は出発点としてすばらしいものですが、コンセプトを明確にし、取り組みに優先順位を付けるには、ビジネスや製品が実際にどのようなものになるかをマッピングする必要があります。

ビジネスモデルキャンバスは主に大規模なビジネスプランの立案に使われますが、製品のポジショニングを確立し、定義する場合にも有効です。ビジネスや製品のあるべき機能方法や定義を検証可能な仮説としてまとめ、さらにそのビジョンを実現するための必要事項を1ページの文書に簡潔に盛り込むもので、上述の要素の多数を含む分かりやすいグリッド形式で、さらに収益の流れや価格設定モデルなど、より大局的な事業上の検討事項を加えたものです。

ヒント : このモデルの簡略版を使って製品ポジショニングの定義を行い、その後肉付けをして市場投入計画の立案に使用することができます。

ビジネスモデルキャンバステンプレート
ビジネスモデルキャンバス(オンラインで作成するには画像をクリック)

戦略マップテンプレート

最初に製品のポジショニングを固めておくことは重要ですが、その先のビジョンを明確にすることもまた重要です。戦略の立案と実行の間のギャップを埋めるには、戦略マップテンプレートが便利です。製品のポジショニングに取り組む際にはこのマップで意見を集め、価値提案を差別化し、必要な作業を確立することができます。

ヒント : このモデルは、定義した製品のポジショニングが大局的な戦略ビジネスプランのすべてのステップで組み込まれ、配慮されていることを確認するために使用できます。

戦略マップの例
戦略マップの例(オンラインで変更するには画像をクリック)

製品ポジショニングを成功させる

市場への製品の投入を成功させるために近道はなく、そのステップの中には事業上重要性の高いものもあります。どんな製品であっても、メッセージングとブランドアイデンティティを最重視するようにしましょう。こうしたメッセージは、組織のあらゆるメンバーが製品に対する持続的な需要を生み出すために伝えるべき戦略となるのです。

Lucidchart

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